今回は中学2年でENAGEEDに出会ったザナティ ハマッドさんにインタビューさせていただきました。
中学校時代は前向きに勉強に打ち込むことができず、進路に悩むこともあった中で、しっかりと内面に向き合い続け、その年のENAGEED SUMMIT 2020※ではENAGEED賞を受賞されました。
現在は高校3年生で、学校に通いながら会社を立ち上げ代表を務めていらっしゃり、その決断に至るまでにどのような心の動きがあったのか、またその中でENAGEEDで得た学びがどのように活きたのかを伺いました。
※全国の中高生を対象にしたプレゼンテーション大会(詳細)
ENAGEEDの第一印象と、
その時に気づかされたこと
——ENAGEEDとはいつ、どのように出会いましたか?
ザナティさん(以下、ザナティ):私がENAGEEDに出会ったのは中学2年生の時です。中1の頃から成績は良かったのですが、コロナ禍で先生の強制力がはたらかない環境にいる中で勉強や宿題をやらなくなり、中3から成績が急降下し、テスト勉強に興味が持てない「できない」が続いていました。その中で、テスト勉強の軸とは違った学びを持ってきてくれる先生がいて、僕はその先生が提供してくれるENAGEEDのイノベイティブな授業を楽しんでいました。
ENAGEED COREで印象に残っているのは、ページを開いて一番最初に「かっこいい大人ってどんな大人?」と問いかけられた時です。コロナ禍で時間があったはずなのに、それまで自分の内面と全く向き合って来なかったことに気付かされました。
自分自身だけでなく、
友達の内面も深く知ることができる
——ENAGEEDの授業を受けて、当時のザナティさんにどのような変化がありましたか?
ザナティ:ENAGEEDの授業で特に良かったなと思うこととして、いつも一緒にふざけたり怒られたりしている友人たちと一緒に授業を受けて、
お互いの内面をより深く分かり合えたことがあります。普通の授業では、自分の考えや内面をじっくり掘り下げることも、それをシェアすることもなかなかないので。
また、インプットするだけではなく「じゃあ考えてみよう、やってみよう」というアウトプットの多い授業だったので、ゼロから1をつくるという体験がとても楽しかったことが印象に残っています。アイデアを考えたり何かを生み出したりすることが以前から好きだった私には、特に合っていたのだと思います。
色々なことで悩んでいた当時、ENAGEEDの問いやそこから得た学びは、私に新しい風を吹かせてくれました。
vol.1~7の学び一つひとつに
集中的に向き合うことが大事だと思った
——ENAGEEDで得た学びは、現在にどうつながっていますか?
ザナティ:「ENAGEEDの明確な何かひとつが今につながっている」というような感覚ではなく、「自覚できない何かが常に背中を押してくれている」という感覚の方が近いかもしれません。
もちろん、ENAGEED
SUMMITでENAGEED賞を受賞したことは大きなインパクトでしたが、それをさかのぼるとCOREの授業で得た学びや気づきがあったからで、そういう一つひとつの積み重ねの相乗効果が今の自分につながっていると感じます。
SUMMITは、ほとんどのクラスメイトがチームを組んでいたんですが、私はあえて一人で取り組むことにしました。チームで協力するからこそ得られる学びもたくさんあったとは思いますが、当時は「決定的な自信をつけたい」という想いがあったので、
自分一人の力で何かを成し遂げたかったんです。
そうして得た自信と、カリキュラム全体を通して得た学びによって、自分に自信が持てたことは今の自分に大きく影響していると感じます。飾らずに言うと「あれ?こっちの方が向いてるかも?」ということに気づかせてくれたというか。
ワクワクすること、アイデアを考えること、それを実行すること……テストで良い点数を取るための勉強よりも、自分にはそういったことの方が向いているという気づきと、具体的なアウトプットとして形にする機会を与えてもらったことで、自分に自信を持つことができました。
手探りの中で成長しながら正解を見つけていきたい
——探究アラブジャパン株式会社の立ち上げに至るまでの経緯を教えてください。
ザナティ:中学生の頃は香川県に住んでいて、私が中学3年の頃に、父が東京にあるコンセプトが面白い教育塾で仕事を始めました。
そこで父が「探究アラブプロジェクト」という、アラブ諸国を中心としたオンライン塾プロジェクトの担当者になったことをきっかけに、会社から要請がかかり、東京に移住してインターンとしてチームに参加しました。
高校2年の時に事業責任者の任命を受け、今年の3月に事業譲渡を受けて「探究アラブジャパン株式会社」として独立しました。
——ザナティさん個人としての今後のビジョンはありますか?
ザナティ:私は、今自分がやっていることや考えていることが完全に正解だとは思っていないんです。自信がない部分や穴のある部分はまだまだあるので。
ただ、私が中学3年の揺れ動いている時期に、心から前向きにのめり込めるものを見つけることができたのは、ENAGEEDや探究アラブプロジェクトとの出会いというきっかけがあったからです。学ぶことの楽しさに関心を持つきっかけが得られたことや、ハーフとして生まれたこと、そういった自分のルーツ全てがはまっているプロジェクトなので、私が今取り組んでいることには宿命のようなものを感じています。
だからこそ、「自分が凄いんだ」とか「このプロジェクト・この教育法が正解なんだ」と言うのではなく、より良い道を模索していきたいです。
まだ17歳の高校生で学校の授業を特別真面目に受けていたわけでもない私が教育を語ること自体どうなんだろうという見方が一般的だと思いますが、そういう自分が夢中になれることを見つけられたように、目の前にいるアラブの子どもたちと学びの楽しさを享受できるよう、手探りの中で自分も成長しながらより良い方法を見つけていきたいと考えています。
「まずは一度だけ本気でやってみたら、案外楽しいかも」
と今の中高生に
伝えたい
——最後に、今ENAGEEDを学んでいる人や、これから学ぶ人へのメッセージをお願いします。
ザナティ:これはENAGEEDに出会った当時の自分に向けての言葉でもあるんですが、
「せっかくなら楽しもうとしてみた方が得だよ」ということを是非伝えたいです。
「メンドクサイなあ」とか「何の役に立つんだよ」とか、自分で思ったり周りが言ったりすると思いますし、実際私もそういう場面もありました。でもどうせやるのであれば、一度真面目にやってみたら、案外楽しいと思えるかもしれません。
もちろん真面目にやってみた結果、やっぱり自分には合わないと思うことだってあるかもしれませんが、それならそれでいいんです。合わないことが分かれば、別の合うものを探せばいいんですから。
自分に合うか合わないかも分からないうちからやらないと決めてしまうと、楽しいと思えるものに出会えるかもしれないチャンスを逃してしまいます。どうせやるなら、まずは一度だけ本気でやってみてください。