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【イベントレポート】ENAGEED HR Night 2024夏:人事交流会で語られた"かっこいい大人"と組織づくりの未来

2024.10.09

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はじめに
 
「ENAGEED HR Night 2024夏」は、2024年8月30日(金)にエナジードオフィスで開催された、エナジード初の人事交流会です。イベントは2部構成で行われ、第1部ではパネルディスカッション、第2部では懇親会が実施されました。本記事では、イベントの模様をダイジェストでお届けいたします。

1. 開会の挨拶

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開会の挨拶では、エナジード執行役員・加藤俊介(以下、加藤)が登壇。次のように語りました。

「これまで私たちがたくさんの人事の方とお会いしてきた中で、『本質的な人材育成や組織づくりと向き合い続けているかっこいい人事の皆さんをお繋ぎしたい!』という想いが強くなり、それがこの企画の最初のきっかけになっています。

 正解のない時代、人も組織も正解を模索し続けていく中で、私たちエナジードだから提供できることがあるなら、少しでも多くの価値を人事の皆さんや社会に還元していきたいと考えています」

2. 登壇者紹介

本イベントには、人事・教育分野で豊富な経験を持つゲストパネラーのお二方が登壇しそれぞれの視点から組織風土改革や人材育成の実践を共有しました。両者は、長期的な視点と個々の社員に寄り添った育成の重要性を強調しました。

■ リコージャパン株式会社 武田 佳祐氏

 

武田 佳祐
リコージャパン株式会社丨経営企画本部 人財開発センター 人財開発部 部長
◼経歴
組織風土マイスター|国家資格キャリアコンサルタント|産業カウンセラー|SNSカウンセラー
プログラムライセンス:LIFO®|SBRP|ITS|FISH|行動の柔軟性開発

⚫︎2022年9月まで:ROYAL RJ AWARD受賞後、営業所長・マーケティングに従事。営業を科学することに拘り、所属組織44ヶ月連続総粗利達成。個人の徳性を最大限に発揮できる新しい組織創りを志す
⚫︎2022年10月~:ひとの『こころとからだ』をテーマに活動することを軸に、人財開発センターにて全国の組織風土改革(能力開発)をライフワークとして活動中


 武田氏は現在、東京と札幌の2拠点生活を送りながら、地域の課題に合わせた組織風土改革に取り組んでいるそうです。
特に注力しているのが、ネットワークキングフォーラムと呼ばれる活動。
これは社員同士の横のつながりを強化するための取り組みで全組織から選出され、社長や経営幹部も参加する重要な活動となっています。
また、LIFO(Life Orientations)を活用した組織風土改革ワークショップも全国支社で個別にカスタマイズ展開し、組織の活性化を図っています。

■ダイドードリンコ株式会社 石原 健一朗氏

石原 健一朗
ダイドードリンコ株式会社 | 人事総務部 人財開発グループ シニアマネージャー
◼経歴
キャリアコンサルタント | Gallup設定ストレングスコーチ | DDIラーニングシステム認定ファシリテーター
複業:人材・組織KAIHATSUオフィス 代表

大学卒業後、京セラ株式会社に入社し、在職中は一貫して人材開発、組織開発に従事。教育研修の全社統括部門において、階層別教育や役職別教育を新規で立ち上げ、教育体系の再構築を実施。
2015年ダイドードリンコ株式会社入社後は、次世代リーダーの育成選抜プログラムを主軸に添えた教育体系の構築に従事し、人事企画、採用、人財開発、組織開発、タレントマネジメントまで幅広く携わりながら、人事戦略の策定から実践を行う。2022年には複業制度を構築し、人財・組織KAIHATSUオフィス代表として、コンサル業務も行う。


 石原氏は、個人や組織の関係性構築に焦点を当てた現代的な組織開発アプローチを重視しており、特に新入社員の育成や若手社員のフォローアップに力を入れています。Gallupのクリフトンストレングス(ストレングスファインダー)の認定コーチでもあり、この手法を活用して社員の自己理解促進や組織内のコミュニケーション改善に取り組んでいます。

 

3. パネルディスカッション

 

"かっこいい大人"とは?

 続いてのパネルディスカッションでは、「”かっこいい大人”とは?」というテーマを巡って様々な意見が出されました。
 
ある企業の人事担当者の方は、「自分の意志で人生を切り開いている人」を理想像として挙げました。後悔のない人生を送ることの重要性を強調し、特に厳しい環境から退職する人を減らしたいという思いを語りました。
 
 グローバル展開をする企業の担当者様は、「やりきる+周りも巻き込める人」を理想としているそう。約束を守り結果を出すだけでなく、自ら考えて行動し、周囲からの信頼と関心を得られる人材を高く評価しています。
 
 大手オフィス機器メーカーの人事担当者の方からは、「宇宙と繋がれる人」という印象的な表現がありました。これは単なる知識や能力だけでなく、より大きな視野や哲学的な思考を持つ人を指しているようです。
 
 その他、「責任感が強く、決断力があり、人の好き嫌いをしない行動力のある人」という意見も出されました。これらの見解は現代の企業が求める人材像の多様性、それは単なるスキルや経験だけでなく、個人の価値観や思考方法も重視されていることを示しています。


人事の仕事のやりがい

 続いては、「人事のやりがい」というテーマでお話を伺いました。

 A社の方は、「研修を始めるときは皆さん基本的に嫌な顔をされますが、回を重ねるにつれて、最終的には"よかった"という言葉をいただけるのが嬉しい」と語りました。また「経営方針の遂行に直接的に貢献できる」というコメントも。
  
 B社の方からは、「正解がない世界で、正解を描いていくことに面白さとやりがいを感じる」という意見が出されました。人事の仕事について「人事は、(人に)会わなくても変えられる仕事」と述べ、社員の人生を変える可能性があるという責任の重さ、キャリアを自由に描いていける楽しさの両面を感じていると語りました。
 
 その他、「人の成長が見えたとき」や「スタッフの成長を感じられたとき」など、企業の未来を担う人材を育てることが、彼らのモチベーションの源となっています。


社員の能動性を引き出す取り組み

 参加者から挙げられた主な意見は、以下の通り。

1. エンゲージメントの向上
2. 自立心の醸成
3. チャレンジへの称賛
4. サポート体制の整備
5. 目標設定と振り返りの機会
6. 働きがいのある職場環境の整備
7. 成長機会の提供


社員同士の横のつながりを作る工夫

 リコージャパンの武田さんは、自社の取り組みとして「ネットワーキングフォーラム」という事例を紹介しました。これは、部門や階層を超えて社員が自由に参加できる交流の場で、テーマに基づいたディスカッションやワークショップを通じて、新しいアイデアや協働のきっかけを生み出すことを目的としているそうです。

 武田さんは、この取り組みの背景について
「全国各地のトップダイレクトミーティングで、社長や経営幹部とのディスカッションの際に、
社員のみなさんから、やっぱり横のつながりが欲しいということが、一番多い要望としてありました」と説明しました。

 武田さんはさらに、この取り組みの特徴として手作り動画の活用を挙げました。「人の心を動かす」ことを目的に、面白いファシリテーションを取り入れています。また、参加者全員に特別なオンライン背景を与え、2024年度参加者が後日の研修やオンラインミーティングで即座に認識できるような仕掛けも行っています。さらにTeamsでメンバーの繋がりの場を作るなど、様々な形で繋がりを促進する工夫を行っているそうです。

 

4. ゲストパネラーによる講演

リコージャパン 武田氏の講演
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続いてゲストパネラーにおける講演について。リコージャパンの武田さんは、現代の組織づくりについて独自の視点を提示しました。

・情報と知性の重視:
 物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさや知識、情報の価値が高まる
・柔軟性と適応力:
 既成概念にとらわれず、柔軟に対応することが求められる
・人との繋がり:
 情報や人との繋がりが重要視され、リモートワーク・複業など、様々なはたらき方が一般的になる

 武田さんは、この時代にうまく適応するためには、直感を信じて行動し、情報や人との繋がりを大切にすることがポイントだと強調。最後に「これからの時代」に適応するための5つのポイントを挙げました。

1. 情報と知識の共有
2. コミュニケーションの重要性
3. 柔軟性と適応力
4. 精神的な豊かさ
5. ネットワークの力

これらの要素が組み合わさることで、「つながり」が非常に価値のあるものになると締めくくりました。

ダイドードリンコ 石原氏の講演
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 続いて、ダイドードリンコの石原さんの講演です。石原さんは、採用から5年目までの一貫した人財開発・組織開発プログラムについて詳細に説明しました。このプログラムは、若手から中堅社員に亘る段階的な一連の取り組みであり、エンゲージメントの醸成、リーダーシップ開発、キャリア開発を意識して構築しています。
 
 また、このプログラムは、社員の自己理解を促進することを主軸に置いており、そのためにクリフトンストレングスをはじめとするタレントアセスメントツールやパーソナリティ評価ツールを活用しています。これらのツールを通じ、採用から育成に至るまで一貫した指標を基にタレントマネジメントを行っています。

なお、このアプローチは、入社後から始まるのではなく、採用前のインターンシップ段階においては学生の自己分析を支援する形で自己理解促進を図られています。

 新入社員研修では、自己認識・自己開示・自己表現を重視し、既存社員も巻き込みながら約1ヶ月半かけて実施しています。この研修は人事部門が主管として手厚く行っています。

 配属後は、新入社員、上司、OJTトレーナーの三者間の関係構築を支援しています。石原氏はこれを『組織開発』と位置づけ、各部門に深く関与して取り組んでいます。その際、クリフトンストレングスを活用し、三者が互いの強みを理解し合う場を提供することで、他者理解を促進し、今後のOJTが円滑に進むための基盤を整えています。

 毎年実施されるフォローアップ研修は、入社後5年目まで継続して行われます。特に、キャリアの転換点となりやすい3年目の社員に対しては、一般的にも離職意識が高まる傾向もあることから、自律的なキャリア形成にも焦点を当てた内容で研修を実施しています。

 キャリア形成については、3年目社員だけではなく、新入社員配属後から1ヶ月ごとに定点観察を行いながら、各フォローアップ研修の前には人材開発メンバー(全員がキャリアコンサルタント)によるキャリア面談を実施しています。これにより、個々の成長を細やかに把握し、サポートする体制を整えています。

 石原氏は、このような長期的かつ体系的なアプローチにより、若手社員の成長と組織への定着を促進する取り組みを行っていると説明しました。

5. 質疑応答

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質疑応答では、新しい取り組みを導入する際の社内の反対意見への対処、長期的な育成プログラムにおける途中離職者への対応など、具体的な課題に関する質問が寄せられました。

回答者たちは、長期的な視点に立ち、粘り強く取り組み続けることの重要性を強調しました。また、失敗や離職といったネガティブに捉えられがちな事象も、組織の成長や改善のチャンスとして前向きに捉える姿勢が感じられました。

6. 懇親会での交流

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懇親会では、「人事の仕事の面白さとは?」というテーマで、参加者たちが自由に意見を交換しました。主な意見として、以下のようなものが挙げられました:

   A社の方からは「最初は皆さん基本的に嫌な顔をされますが、ENGAGEEDの研修を通じて、回を重ねるごとに満足度が高まり、最終的には"よかった"という言葉をいただける。それが嬉しい」という意見をいただきました。
 
   B社の担当者の方は「いくつになっても学びがある」と述べ、人事の仕事を通じて自身も成長できることを喜びとして挙げられました。ENGAGEEDの研修が、人事担当者自身の成長にも寄与していることが伺えます。

   C社の方は「ENGAGEEDとの取り組みを通じて、経営方針の遂行に直接的に貢献できる」という点を挙げ、長期的な視点での成果を感じられることを面白さとして語りました。またD社の担当者からは、「ENGAGEEDのイベントをプロデュースする中で、様々な企業の方々と関わることができる」と述べ、多様な人々との交流を仕事の魅力として挙げました。

 リコージャパンの武田さんは、「1人1人の輝く姿が大好きで、個々が特性をフルに活かした社会を実現したい」というパーパスを持って仕事に取り組んでいると語り、人事の仕事を通じて社会に貢献できる喜びを表現されていました。

7. イベントを終えて

 本イベントを通じて特に印象的だったのは、長期的視点の重要性、個別化されたアプローチ、継続的な学びと成長、そしてつながりを重視することです。
 今回の交流会を通じて、参加者は「自分自身の成長を通じて、組織全体をどう変革できるか」を深く考えるきっかけを得ました。エナジードが提供する研修や人材育成の価値は、単なるスキルアップにとどまらず、社員が社会に貢献する大人へと成長するための土台を築いていることが、改めて確認されました。


【取材後記】
このレポートを通じて、皆さまが“かっこいい大人”としての自分の成長と、組織への貢献を考える機会になれば幸いです。エナジードは、今後も人材育成と組織の発展に寄与し続けます。

改めて参加者の皆さま、登壇者の皆さま、ありがとうございました!

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